ワタミの渡邉さんが政界に立候補した時に、ブラック企業のレッテルをマスコミに貼られたは記憶の新しいところ。ここ数年は営業不振になっているとニュースで聞いてましたが、今朝、2004年に進出した介護事業を売却するというニュースが出てました。確か少し前に、この介護事業で全体の立て直すなんてことを言ってたワタミが、その事業を売るということは財政が厳しいのが誰にでも分かります。居酒屋業界では様々な変化が起きており、お店自体も変化のスピードに合わせた改革を求められる時代になっています。外食好きな私は居酒屋をよく利用しますが、10年前はよく行ってた和民でしたが、ここ最近5年間は和民へ行くことがありませんでした。でも、数ヶ月前に久しぶりに行ってみたら、ポンポン業態変更をしているお店なんかより料理のコストパフォーマンスが良いことに驚きました。路面店で網焼きを売りに外人受けしているお店なんかより、数段クオリティー高い料理が出てきました。ただ、接客は普通。残念なことに、ここが流行ってない居酒屋と同じなんです。ここの復活のヒントが隠されている。
ワタミフードサービスがブラック企業と言われるきっかけとなったのが、2008年に和民で働いていた女性従業員が7日間連続の深夜勤務と140時間以上の時間外労働を強いられ自殺をした事件。私も若い頃は、似たような時間外労働を何年もしたことがあり、少し自律神経が崩れたことがありました。ただ、私の場合は好きでやっていたので苦痛ではありましたが、楽しくもありました。いま、経営者という立場になってみて、その時の経験がとても役にたっているとも言えます。この様な意見は、お会いした経営者の多くが持たれています。正直なところ、私の理想ではありませんが。
逆に相手が経営者でないと、この手の話がかみ合わない現状があります。もちろん、同じような考え方をもって働いている従業員もいますが、多くの会社員は「なんでこんなに働かせるの?」「だるぃ辞めたい」など、できたら楽をしたい的な考えで働いている人が多いです。これは、私が思うに「仕事をどのように捉えるか」によって全く変わってくるかと。
よく言われているのが仕事三段階
・JOB/ジョブ
誰がやっても成果は一緒で、時間でする仕事。マニュアルとそれをする人数さえ揃えばできる仕事。
・CAREER/キャリアー
スキルを持った者が時間か出来高によってする仕事。スキルが高ければ給与や報酬が高くなる仕事。
・CALLING/コーリング
天職。既にスキルは持っており、自己表現や自己実現、社会貢献の為に身を捧げらる仕事。
仕事をジョブと考えている人は、仕事をコーリングと考えている人とは考え方が全く変わってきます。逆にコーリングの人はジョブ、キャリアーを経験してきているので、コーリングになることが仕事をする上での楽しさと思い込み、それをジョブやキャリアーの人に伝えようとします。和民の事件に関しても、この関係が明確に出ていたのではないでしょうか。現場ではコーリングを目指そうとやっきになって、ジョブやキャリアーの人にコーリングになるには必要なこととして、強制労働を強いたり、夢を描かせたり。結果、本人が無理をして悲しい結果になってしまった。簡単に言ってしまえば、こんな感じではなかったのかと。
大きな組織になればなるほど、ジョブと考える従業員が多くなります。そこに、キャリアーを飛び越してコーリングになろうってのは無理が有りすぎるかと。人の成長を見極めて、その人の能力に合わせた人材育成が理想なのでしょうが、企業事情としては人ばかり見てられないと言うも出てきます。ですので急成長した企業やワンマン経営者のところは、ミスマッチに陥りやすいです。企業成長には0から1、1から10、10から100・・とありますが、「人を見れる」ことが大きくなる上では必須だと考えます。10や100で終わる中小の多くは人材不足で悩んでますが、そこをクリアするのは優秀な人材を入れる為に経営者が成長するしかないと。つまり経営者が優秀な人間(人を見れる人間)をどれだけ集められるかが重要かと考えます。
ワタミのような大企業になると、その先の人事制度による部分が大きくなります。渡邉さんが会長職を抜けた後、これから創るワタミイズムをどれだけ浸透できるか?今までのやり方を変えて、ジョブ層、キャリアー層が元気に仕事できる環境は何なのか?そして相手がジョブなのかキャリアーなのかを見極めて人材育成をすすめていく。人が心を込めて作った料理(開発かもしれませんが)を、心のこもったサービスで食べてもらう。サービス業の真髄を見せつけて、おもてなしを極めてほしい。これが和民回復のきっかけになると、最近和民さんの利用を復活した私が勝手に考えました。
少なくとも、路面店で網焼きを売りにしているお店より座和民の方が、私は好きです。外人利用は別業態として開発してもらって、和民本体は日本人が集まるようなお店作りをお願いします。
人の考え方は人それぞれ。ブラック企業と思う人、ブラック企業と思わない人、それぞれにあった職場環境を創ることが大きな組織がやるべきことなのかもしれません。成功体験からはじめて、いまの幸せと照らし合わせることが必要だと思います。ブラック企業は全てがダメとかでなくてね。